飲んだり食べたりしたものは口から食道、胃へと流れていきます。本来食道と胃の境目(胃の入り口)には噴門があって、巾着のように締まることにより胃に入った食べ物が逆流しないような仕組みになっていますが、加齢や体質により噴門の締まりが弱くなると胃から食道に胃液を含んだ内容物が溢れることになります。胃液は塩酸という非常に強い酸性の液体ですので、食道の壁は胃酸でただれてしまいます。逆流性食道炎は、逆流した胃酸で食道の粘膜が傷ついて炎症をおこしてしまう病気です。胸やけやジリジリする感じ、酸っぱい水が上がってくるような感じ、ゲップや吐き気がするなど様々な症状が出ます。また、胃酸を気管や肺に吸い込んだりすると、気道にも炎症を起こすので慢性的な咳の原因となっている場合もあります。逆流がひどい高齢者では誤嚥性肺炎を来たすこともあるので注意が必要です。横になると逆流は酷くなるので、食後すぐに寝るのは避けて30分くらいは仰向けにならない方がよいでしょう。逆流性食道炎の治療には服薬もありますが、暴飲暴食を避け、消化の良いものを食べるなど、生活習慣を改善していく必要があります。